vol.1019 「存続」

vol.1019 「存続」 2009.10.13
 代表取締役社長 藤麻 一三
 みなさん、伊勢神宮の建て替えは何年に一度かご存知ですか。
 私は100年位かなと思いましたが、実は20年に一度建て替えるのです。これを「式年遷宮」といい、次回は第62回式年遷宮が平成25年に行われます。ということは62回×20年として1240年も伊勢神宮は存続することになります。しかもその建て替え費用はなんと100億円以上です。えらいもったいない話しです。20年に一度100億円以上をかけて建て替えをするのです。
 これは構造上の問題ではありません。構造上は50年でも100年でも持つような構造ですが、100年単位で行うと宮大工の技術が継承されない可能性があるので、あえて20年で行っているのです。
 事業を継承するためには、20年に一度は建て替えをしないといけない、つまり、事業のいろいろなことを見直さないといけないということです。事業の一番の目的は存続です。皆さんの企業は100年先も存続していますか。当然存続のために何をしてもいいというわけではありません。やはり人のお役に立たないといけませんね。
 「とらや」という和菓子の老舗があります。約480年続いている会社です。
とらやの社長さんは「変えてはいけないものと、変えないといけないものがある。」とおっしゃいました。私は変えてはいけないのは「味」と思いましたが、味は変えないといけないと氏は言います。よく考えれば480年前の味覚と今の味覚は全く違いますよね。これは時代に合わせて変えていかないと存続できません。
 では変えてはいけないものは「真心」とおっしゃいました。心をこめてお客さんの喜ぶ顔を思い浮かべて和菓子をお作りになっているのでしょう。
 これが存続の秘訣です。つまり「商法」(商いの方法)は時代に合わせて変えないといけないが、「商道」(理念)は変えてはいけないと言うことです。