vol.1062「お客様との素敵な出会い」 2011.02.24
八丁櫓 森永 孝之
1月の忙しかった水曜日の13時頃、ウエイティングが数組になった所にマスク姿の女性が立っていらっしゃいました。何とその方は10年来のさざん亭三次店でのお客様、M本様の奥様だったのです。
初めてM本様ご夫婦に出逢ったのは新入社員だった頃でした。箸かスプーンを落とされたのに気が付きお持ちしたところ、とても喜んでくださり、ご意見ハガキにもお褒めの言葉を頂きました。初めて頂いたお褒めのハガキが、初めて頂いた給料よりも嬉しくて、俄然ヤル気になった事を今でも覚えています。
そのM本様ご夫婦が次の年の春また来店されたのです。しかも偶然にも前の年と同じ席に。ご夫婦で「また同じ席だね。」の様な会話をなさったので、“もしかして!?”と思い話しかけてみました。するとやっぱり1年ぶりのご来店のM本様で「毎年春には山口市から桜を見に来るんだよ。」とおっしゃいました。その時もお褒めのハガキを頂いたのでお礼のハガキを出しました。
初めての出逢いから3年目の桜が咲く頃、“今年も来られるかな?”と、名札の裏に『M本様』とお名前を忘れないようにメモを入れ、ドキドキしながら日曜日の営業をしていました。何回目かの日曜日にM本様はいらっしゃいました。準備万端でしたので「1年ぶりですねM本様。いつものお席に!」とご案内することが出来ました。“俺最高!”と心で大きくガッツポーズ!
それからは年2~3回程来店して頂き、「副長になったんです。」「子供が産まれました。」と報告したり、年賀状等のやりとり等しながら約10年。来店の度に褒めて下さるM本様ご夫婦が大好きです。
昨年の夏、八丁櫓に転勤になった事をお知らせしなければならなかったのですが、ズルズルと気が付けば年賀状での報告となってしまいました。
それから数日後、ご夫婦で八丁櫓にいらして下さいました。今までと違う場所にいる自分の方が緊張してしまいましたが、いつもの優しい笑顔で私の働く姿をわが子の様に見守って下さいました。良いお客様に巡り合えたこと、良い関係を継続させて頂いていることで、私自身の仕事に自信と誇りを持てるようにもなりました。
八丁櫓では、毎日多くのお客様に来店して頂いています。そのお客様に対し、出逢いのきっかけを創れるのか、そのままお帰り頂くのか・・・1年~2年後には大きな違いが生まれます。きっかけとは、会話だったり、笑顔だったり、優しさだったり、何でもいいんです。何かお客様の印象に残れば。後は自分の工夫次第で距離はどんどん近くなっていきます。そこがまた飲食業での接客の楽しさ、やりがいだとも思います。
今、八丁櫓のホールには10人の社員・パートさんが働いています。そのスタッフそれぞれが、お客様と楽しそうに会話をしている姿、段差を気遣いながらご案内するする姿、大きな声で返事をする姿、最後までお見送りをする姿、そんなお客様とのスタッフの接点を見ることが今一番嬉しく感じる仕事です。
今日も八丁櫓で素敵な出逢いがあります様に!