フジマ

STORIES Vol.041~045

Vol.041

勇気は成功のもと

さざん亭柳井店 T.Y

ある平日のランチタイムの事でした。
席も満席になり、お子様一人とお母さんらしき人がいっしょにご来店されました。
私はてっきり親子だと思い、お母さんにお名前を伺いました。
そして、順番になりご案内すると、お母さんらしき人の後ろには、あの子供さんではなくおばあさんがついて来られたのです。

それから数分後、あの子供さんの本当のお母さんがやって来られました。
『名前言ってないの!!』と怒り気味に子供さんを叱っておられました。
私は“まずい!”と思い、すぐにお名前をお聞きしました。
待っている間中、ずっとお顔が怒っていらっしゃいました。
どう対応して良いか判らないまま、順番が回って来て、席にご案内しました。
『責任者を呼んで下さい!!』と言われ、すぐに山本店長に報告しました。
すかさず店長はデシャップの手を止め、そのお客様の所へ行かれました。
「子供さんを先に行かせて順番を取っておくはずだったのに、名前を聞かれなかった。前にもこんなことがあった。」とのことでした。
その話を聞き、私は反省するとともに、正直言って“あそこの席には行きたくない”という、ずるい気持ちが出てきました。

ずっとそのお客様の席を避けて仕事をしていましたが“このままでは自分が変わらない。楽しく仕事ができない。勇気を出して謝りに行こう。”と決意しました。
ちょうどお食事が済んでいてアフターサービスがあったので、器を下げながら『先ほどは申し訳ございませんでした。』その後何を言ったかよく覚えていませんが、私なりの言葉で謝罪しました。
そうすると、怒られていた顔がだんだん笑顔に変わっていったのです。
お会計の際もそのお客様は『いいんですよ。こっちも悪かったんだから。』とおっしゃって下さいました。
クレーム対処は一番苦手な仕事ですが、“勇気一つでお客様との関係は一層深まるんだなあ”と思いました。

今、1週間に1回、竹内マネージャーとOGMの森本先生と、メール交換していますが、この内容をメールすると、森本先生から≪勇気は成功のもと≫と返信されてきました。本当にそうだと思います。

Vol.042

白いサポーター

さざん亭モール周南店 M.C

私は4年程前から膝が悪くなりました。半月版に小さな傷があるそうです。
あまり無理なことをしたり、何かの拍子に膝の中の傷がめくれたりした時に痛んでしまいます。

最近調子が良かったのですが、寒さのせいもあってか、いや、年のせいか?また膝が痛み、白いサポーターをして仕事をしていました。
その初日からお客様に『足、どうされました?けがですか?』と尋ねられました。
私は『いえ、大した事は無いのですが、ちょっと膝が悪いので・・・年のせいですかねぇ。』とお答えしたところ、『無理しないで下さいね。』と言っていただきました。
『ご心配いただきまして本当にありがとうございます。おかげで今日一日頑張って仕事ができます。』とお礼を申し上げました。
その後2組のお客様からも、お帰りの際レジで、『みんなでケガでもしたのかなって心配して話していたのよ。』等、言葉をかけていただきました。お客様からの温かい言葉に心から感謝しています。

最近では髪を切っても家族に『えっ!髪切った。気づかなかったなぁ。』な~んて言われる私ですが、仕事として接客をしていて、こんな温かい言葉をかけていただけるなんて・・・感動の花一輪をお客様からいただいてしまいました。と同時に、当然のことながら、私たちは常にお客様に見られているんだということを再認識させられました。

皆さんも、状況は違っていてもこんな経験一度はあることでしょう。
私たちはお客様に一方的に奉仕しているように思いがちですが、いろんな面で逆に助けられているということです。だから、心からの『いらっしゃいませ。』や『ありがとうございます。』を言いましょう。
それが私たちの感謝の心を表現する最大の言葉ですから・・・

PS:後日、白いサポーターは、目立たない肌色のシップに変えました。

Vol.043

蛙おばさん

              ~お客様と私だけの思い出のお話

さざん亭マネージャー 竹内 千恵子

ある日曜日の夜、ウエイティングの多い中、後からご来店されたお客様を先に案内してしまい、先から待っていらっしゃった若い男女4人連れのお客様を怒らせてしまいました。
大慌てで用意した席にご案内すると、蛙が窓ガラスの外から張り付くように止まっていました。
“まずいかな”と思いましたが、その席意外には空席がありませんでしたのでそのままご案内致しました。

案の定、若い女性のお客様が『蛙!!気持ち悪~い!!』と言って立ちすくんでしまいました。
私は『まぁ!済みません!あられのない格好で・・・はしたない。お行儀良くするようによく言って聞かせますから・・・申し訳ございませんね。』と申しました。
蛙は、通常は上から見ているもので、裏(腹側)から見るのは、なんだか妙な格好です。

『ぷ~!』一人のお客様が吹き出すと4人とも大笑い。
先刻まで待たされ過ぎて『店はここだけではない。』とか『帰ろうか。』とか言って、機嫌の悪かったお客様の、打って変わったような和やかな雰囲気に胸をなでおろしながら、“この会話、おばさんだから面白くできたんだなぁ”と妙な納得のしかたでした。しょっ中出てきては困る蛙、でもその時の蛙には救われました。

それからも、そのお客様は、日曜日になると時々顔を見せて下さいました。
『おばさん!蛙どうしてる?』と聞かれ『良い子にしていますヨ。』と答える私。いつしかそのお客様から「蛙おばさん!」と呼ばれるようになりました。

4人組のお客様と私だけの思い出のお話です。

Vol.044

逆転満塁ホームラン

              ~1円でも多くの売上を・・・現状打破への歩み・第6弾

さざん亭宇部店 K.M

1月も後半にさしかかり、目標達成に向けてラストスパートをかけていた時の事です。
本日の目標設定は19万円でした。昨日は私が休みでしたが一日の目標をクリアしていました。
今日は店長がお休みだったので、“負けられない!”と思っていました。
ふと思うと、最近、私が出勤の時は目標割れしているし・・・最近貧乏神になりつつあるなぁ・・・とため息ばかり出てきて結構あせりばかりがありました。

ランチタイムは8万円と伸び悩み、“なんなんだ~この売上は!” “またか~”とひとり愚痴をこぼしていました。そして、すべてはディナータイムにかけました。
“今日は何としても・・どんな手段を使っても予算にいかせるんだ!” “たとえ目標はいかなくても1円でも多く売上につなげるんだ!”という気持ちでいっぱいになりました。
しかし、20時過ぎになってもお客様はほとんど入って来られず本当に泣き出しそうでした。
ため息ばかりついていると、パートのKさんが
『終わるまでわからんよ~!諦めちゃつまらんよ!』
『店長がおらんのじゃけーあんたぁしっかりせんにゃ~』と言ってくれました。
何とか気持ちだけは切らさずにしようと思っていたところ、20時半になりパラパラとお客様が来られ、
“よし!1円でもマイナスを埋めるんだ!”と言う気持ちを持ち続け、ホールのみんな全力で100円コーヒーのお勧めをしたり、お勧め料理のセールストークに力を入れていこう!と気合を入れなおし全力を尽くしました。

そして、とうとう運命のオーダースットップの時間がやってきましたが、結構20時半からお客様が来られてので少しホッとし・・
“やるだけのことは、やったぞ!”
“マイナスをどこまで埋められたかな?”
とレジに行って売上を見ると、なんと、蓋を開ければ20万3千円!!『逆転満塁ホームランだ!やったぞ!!』そして私はすぐに店長に電話して今日のことを伝えると、店長は『よう頑張ったの~やりゃ~できるじゃろーが・・・』とその一言で、私は嬉しくてレジの画面の売上が涙で見えなくなるほどでした。

今日の事で“やればできる!最後まであきらめない!日々の努力が月間売上の積重ねだ!”と改めて,知らされた日でした。そして、あきらめかけていた私の気持ちに「気合と根性」を思い出させてくれたパートのKさんの言葉に感謝!!です。

Vol.045

小さな花、それも花一輪

さざん亭モール周南店 O.M

ある晩、久々に竹内マネージャーと仕事の話やサービスの話、花一輪の話などしていました。
花一輪の記念すべきVOL1に当時の清水店長から、私の事を寄稿していただき、今度は私自身も寄稿しようと思っていましたが、なかなか題材が無く、マネージャーにアドバイスを頂いているちょうどその時の事でした。

カップルのお客様が、お支払いのために席を立たれた気配がしたので、私もレジにつき、お待ちしたのですが、なかなかいらっしゃいません。
見ると、歩きながら紙ナプキンで袖口を拭いていらっしゃいました。
すぐにお絞りを1本『お使いくださいませ。』とお渡ししました。
初め、お客様はキョトン?として“なにか?”といった感じでしたが、すぐに、『あららー、わざわざありがとう!』と、素敵な笑顔を返して下さいました。

支払いが終わって帰られる時も、良いムードが漂い、私の方も幸せムードに浸りながら、マネージャーのところに行くと
『今のよ!今のが花一輪の心でしょう!』
『みんな、花一輪となると難しく考えすぎているけど、今のお客様は、当然あなたがおしぼりを持ってきてくれるとは思っておられなかったはず。それが、期待値以上のおもてなしでしょう!』
マネージャーは、『花一輪に今の事を書きなさい。』と言われました。

私は、当然のことをしただけなのに、こんなのでいいのだろうかと思いましたが、でも、こんな小さなことでも、確かにお客様にはお喜びいただける。

毎日、みんなでこんな小さい花をいっぱい咲かせながら、お客様と一緒に小さく笑い合える店にしたいと思います。