フジマ

STORIES Vol.021~025

Vol.021

あるタクシー会社の乗務員さんの花一輪

ベルゼ 川嵜 真希子

1月のある日のこと、ベルゼ社員で新年会を開催しました。一次会が終了し二次会の会場へ向かう為、会場接客係りのスタッフ2名とタクシーを利用しました。

婚礼やパーティー・各種の宴会などでお客様のタクシーを手配し、玄関先でお見送りをすることはたくさんありますが、実際に接客スタッフがタクシーを利用することは、ほとんどと言っていいほどありません。

後部席に2人、助手席に1人分かれて乗車し、ドアが閉まったとたん『この車、いい香りがするね!!』と1人のスタッフが言いました。
『ほんと、ほんと、水仙の匂いがする。』
キョロキョロと車内を見回すと、ダッシュボードの上に、小さな花瓶に挿された水仙の花を見つけました。

早速、乗務員の方に『かわいいですね!』と話し掛けると、何気なく『いろんなお客様がご乗車されますから、季節のものを』と言われました。
それから目的地へ着くまでのしばらくの間、お客様を迎える姿勢について車内で話が盛り上がりました。
利用距離の短いお客様・長いお客様・若い方・ご年輩な方・良い方・悪い方?・・・乗車されるお客様を乗務員の方は選ぶことは出来ません。
しかし、今回利用させて頂いたタクシーの乗務員の方は、安全運転はもちろんの事、マナーよく走り、なおかつ車内をクリーンにし、お客様に心地良い一時をと、花一輪添えられたのだと思います。

私達の職場は、タクシーの車内以上に広い空間があります。もっともっと出来ること、気づくことがたくさんあるはずだと改めて勉強させて頂きました。
“今度から、タクシーを呼ぶときはこの会社にしよう”そんな風に思いました。 
車の芳香剤も、多種多様に出回っている昨今、しかし自然が私たちにもたらす恵みの素晴らしさにはかないません。
花一輪添えることの大切さを(今回は本物の花でしたが)、他社の方に教えてもらい、気づかされた事を紹介させて頂きました。

そうそう、思い出した事が・・・お正月に同社の別のタクシーへ乗車した際、見慣れた飾りがありました。
仕出しのお祝い用の折り詰めなどに付ける松竹梅の寿の小さな飾りです。ワンポイントで笑えました。
その時の乗務員さん曰く『ちゃんとしたのを飾ればいいんだけど、これが丁度いい大きさなんです。』
“こんな所で私たちの使用している飾りが、捨てられずに役立っているんだなー”
なんだか嬉しくなりました。

Vol.022

のん太鮨防府店の湯のみがいつも美しい訳

のん太鮨防府店 濵中 一恵

のん太鮨防府店では、最近、これは夜の仕事、朝の仕事と分けるのではなく、夜の片づけの時、可能であれば、今までは朝していた準備・レーン拭き・箸箱拭き・湯のみのチェック・漂白などを、みんなで力を合わせてやっています。

その中でも特に防府店のみんなの力が合わさっているのが、湯のみの漂白です。
防府店ではお鮨と共に203個の湯のみが回転しています。
開店当初は、時間がなく漂白までは手が回っていなかった為、「湯のみが茶渋で汚れている。」
とのクレームがよくあり、その当時からいるIさんが率先して漂白をしてくれていました。

しかし昼のパートさん達が御懐妊などの理由からのん太鮨を去ってゆき、毎日、湯のみプラス開店準備という大きな負担がIさんにかかってきました。
どのようにしたら朝の準備がもっと楽なものになるか、店のみんなで考え、湯のみは夜漂白に漬けておくことにしました。

そこで登場するのが軍艦場のMさんです。
甘えびの皮をむかせたらのん太一、さすが三児の母です。
そのMさんの『湯のみ漂白につけていってえぇかぁい?』という掛け声と共に、洗い場のパートさん・高校生のバイト君・みんなが声を掛け合って、湯のみを漂白の大きなバケツの中に漬けていきます。
そして朝Iさんが湯のみを洗浄機にかけていくのです。

このように、茶渋でお客様に不快感を与えないよう、みんなが力を合わせてがんばっているから、のん太鮨防府店の湯のみは、いつも自分の顔か映るほど美しいのです。
そして、湯のみが美しいのは、従業員みんなが、お客様を思い、仲間を思っている団結の証なのです。

皆さん、おいしいお鮨と美しい湯のみで飲むお茶を味わいに是非お越しくださいませ。
従業員一同心よりおまちしております。

Vol.023

おじいちゃまの卒寿のお祝いに

八丁櫓 Y.H

社長からご意見葉書のファックスが届きました。
フジマグループの常連さんらしく、内容を見ると、「いつもさざん亭に行っていますが、1月31日主人の90歳のお祝いは八丁櫓でしたい」との文面でした。
社長から「もし予約が入れば何かプレゼントをしたらどうか」というメールも入りました。
私たちは予約が入ればプレゼントは出来ますが、もし入らなければ、“どのようにしてそのお客様を見つければいいんだろうか?”と悩んでいました。
そして皆で予約の電話をお待ちしましたが、当日2階が満席になっても電話は入りませんし、とうとう1月31日も過ぎてしまいました。

諦めていた2月2日ついに電話が入りました。
その方はM様といって会席料理7名様分のご予約をされました。
予約を受けた店長自身とてもうれしかったようです。
店長と相談した結果、花束よりも植木鉢の方が長持ちしていいだろうということになり早速買いにでかけました。そして1年中花をつけるミニ薔薇にしました。

当日おいでになった姿を見るとなんとかくしゃくとしたおじいちゃまでした。
奥様もお元気そのものでとってもお若い声でした。
私はおじいちゃまに手をお貸ししようと思ったその時、奥様はさっさとおかまいなしに席の方へ歩いて行かれました。“私は元気な秘訣はこれだ!”と思いました。
そして乾杯が済んだ頃をみはからって、植木鉢をプレゼントしました。
もちろん≪卒寿おめでとうございます。いつまでもお元気で!!≫というメッセージも付けました。
その瞬間、歓声があがり大変喜んでいただきました。
奥様から『さざん亭モール周南店の近くに住んでいて、よく行きますよ。八丁櫓はなかなか足がなくて来れないのですよ。社長さんによろしく伝えて下さいね。』との事。
その後M様からお礼の葉書が社長に届きました。

八丁櫓では、予約の電話を受ける時、必ず『どういったお集まりですか?』とお聞き致します。
予約には法事・結納・披露宴・誕生日・顔合わせ・その他お祝い事等あります。
法事にはメロンのお供え、披露宴には花束をプレゼントしています。
いろんなお祝い事の方に、どういったものをプレゼントしてさしあげたらいいのか悩んでいたところでした。
当日、突然分かったときでも心ばかりの何かが出来ればと思っています。
皆で案を出し合ってすてきな物を見つけていきたいと思います。

Vol.024

おかんパワー炸裂

              ~のん太鮨山口店成長の歩み・第4弾

のん太鮨山口店 I.H

のん太鮨山口店には、夜のホールにIさんというパートさんがいらっしゃいます。
年齢も私の母と同じぐらいで、お店の「お母さん」的存在。皆から、「おかん」と呼ばれています。

2月5日(日)の夜のピーク時に、お客様にもIさんにも忘れられない出来事が起こりました。
BOX席におられたお子様が赤だしをこぼされたのです。
汁物がテーブルの上でひっくり返ることは時々ありますが、そのお子様は手元で返され、服がひどく汚れてしまいました。
Iさんはすぐに飛んで行き、まず火傷などのおケガをされなかったかを確認し、新しいタオルでお子様の服を拭いて差し上げました。
そして『このタオルをお子様の服の中へ入れてください。』と言って、その子のお父さんへ数枚のタオルを差し出しました。汚れがこれ以上中へ浸透しないようにということからでした。
お客様は大変感動され、社長へのご意見葉書を書かれてレジにいた私に渡してくださいました。
そして満足された顔で『ご馳走さま!』とご機嫌よく帰られました。

葉書の内容は以下の通りです。
<大変おいしくいただきました。6才の子供が誤って赤だしをこぼしましたが店員の方(Iさん)の迅速な対応ですぐ拭いて下さり、取り替えていただいて感動致しました。素晴らしい寒ぶり他も非常に生の良い品質の高さが感じられました。繁盛するお店はこういうものだと分からせていただきました。>

汁物だけに限らず、お茶を返されたりすることはよくあります。
その一つ一つに対応する時、ピーク時にはなおさらのことですが、慣れの対応や片付け方をしてはいないでしょうか?どのお客様にもケース・バイ・ケースで、マニュアル化されない対応をしなければならないと思いました。それが花一輪ではないかと思います。

これからも、Iさんの「お母さん」ぶりをどんどん発揮してもらいたいものです。

Vol.025

私を指名してお電話いただく喜び

のん太鮨防府店 濵中 一恵

お持ち帰りの電話予約を受ける時、私たちは、お客様のお名前をお聞きするのは勿論の事、自分の名前を名乗ります。これは、その御予約を「私が責任を持って承りました。」という意味ですが、お客様によっては、聞き流されている感じの方、反復してくださる方、と様々です。

ある忙しい日曜日の夕方、一本の電話がかかってきました。
電話に出たアルバイトの子が、『Uさんという方からお電話です。』と私に言ってきました。
“Uさん???” 私の知り合いにUさんという方はいません。
その瞬間“あっ!!!”と思い出しました。
その方は、お持ち帰りの御予約を頂いていたお客様だったのです。
私が電話に出るとU様は『今日予約していた・・・』と言いかけられましたので、私は間髪いれずに『はい!U様でございますね!』と明るい声で申し上げました。
するとU様も『はい!!』と明るい声になり追加の御注文を下さいました。

電話を切り、私はとても嬉しい気持ちでいっぱいでした。
それは、お鮨の追加注文を頂いたからではなく、私を指名してお電話をくださったからです。
一度目の電話で私が自分の名前を名乗っているからだと言われればそれまでですが、自分が名乗ったことで、名前を覚えてくださり、受注担当者として「この仕事を任されている」と強く感じ、嬉しくてたまらなかったのです。実は、名前を覚えていただいているケースは以前にもありました。
その時は私が名乗ると『この前の時も濵中さんだったね!』と言ってくださったのです。

それまでは、<言わなくてはいけないから>という理由で名乗っていたのですが、今では、<何か間違いがあれば私の責任です>という気持ちを込めて名乗っています。

今まで以上に仕事に責任を持たなくてはならないと思う今日この頃でした。